『驚異の百科事典男』(本当にタイトルが良くない)をやっと読了。
しばらく他の本に手を出していたせいで、だいぶ間がひらいてしまった。
作品中で自分なりに気に入って傍線を引いた部分の一部を以下に記す。

 ・慈善バザーで売るクッキーになんで砂糖を使わせてくれなかったんですか?(p.29)
 ・ぼくはそれを全部集めて復元したいんだ(p.34)
 ・脳の世界でのシスティーナ礼拝堂とも言うべき傑作だから(p.41)
 ・エイハブ船長にとっての白鯨や、アブサロムにとってのヨアブ(p.42)
 ・命を投げ出す大義を選ぶとすれば、知識の増進を上位二位ないし三位以内に入れるべきだ(p.50)
 ・精包を腕で雌に渡すイカのように自信たっぷりに(p.85)
 ・”これもまた過ぎ去る”(p.177)
 ・冒険にノーといってはならない。つねにイエスと言うことだ。(p.183)
 ・本を読んだくらいで世界の秘密が学べるわけじゃない(p.187)
 ・わたしはあらゆることに好奇心を覚える……興味を惹かれないことにもね(p.197)
 ・アーミッシュの酪農家(p.298)
 ・katydid(キリギリス)(p.315) (※こんな名前の馬がいたな)
 ・ぼくの物思いの列車は以前よりずっと面白い風景の中を走っていく(p.388)
 ・この世の中は事実に満ちあふれている(p.369)
 ・モンテーニュの本を読んだとき興奮のあまり卒倒したという逸話(p.396)
 ・実際に経験するほうが、有意義な時間の使い方ではないだろうか(p.414)
 ・あんた二十九パーセントだって? そりゃ生憎だったな(p.451)
 ・世界との絆を強め、世界に驚異の念を抱き、世界を新しい目で見られるようになる(p.489)
 ・怒鳴り散らしたり、ウェイターにアーティチョークを投げつけたりしなくても、天才の資格はある(p.554)
 ・世界はめまぐるしく変化するけれど、あの三十二巻の紙とインクには永続性の雰囲気が漂っている(p.611)
 ・日常生活における小さな道徳的選択の積み重ね(p.612)
 ・彼がこの世界を愛し、世界も彼を愛してくれるだろうと思うから(p.675)
 ・この知恵、この世界観は、ずっと留まってくれると思う(p.675)
 ・アルファベット順という鉄の掟の奴隷(p.686)
 ・皇帝二人、ローマ教皇一人、ラマ教の高僧一人が住まうのに充分(p.688)

他にも長すぎてここに引用できない、愛すべき文章がこの作品中には沢山ある。
傍線を引く側も、少しずつ引きたい場所が変わっていったように思う。
文章のバランスが良いし、翻訳にも不満が出ない。とにかく楽しく読めた。
ただ日本語版タイトルだけが残念なのだが、あるいはそれもネタなのか。