子供の頃、仮面サンダーのプラモデルを買ってもらった。
仮面ライダーに良く似たスーツを着ているが、触角がカミキリムシのように長い。
これは仮面ライダーのパチもんではないかと疑いながらも、その時代は情報の
流通も少なく、あるいはどこかにこんなのもいるのかも知れないと納得しつつ、
誕生に至る経緯や、仮面ライダーとの関係など、自分なりにストーリーを想像
しながら壊れるまで楽しんだ。周りの誰も知らないがゆえに、自分だけのヒーロー
を手に入れたような気がしてむしろ嬉しかった。できれば、このプラモデルを
プロデュースした人と、ゆっくりジュースでも飲みながら、変身ポーズや、
敵の組織のことについて、夜を徹して話がしたいと思った。