ときどき目が覚めたりしたが、その度にまだ夢の中にいるべきだと思い直して寝る。
正式に起床したのは昼が近くなった午前11時頃だった。にわかにパソコンを起動して、
2chの実況板を監視しつつ、さらにラジオを点けて、福島競馬の実況中継に耳を傾ける。

妻も起き出してきて、押入れにあった古いアルバムを、部屋の隅に広げて眺め出した。
また抑揚のない1日が始まろうとしていた。

函館のバルバロは2着、福島のフラムドパシオンは悔しいことに快勝。
とにかくフラムドパシオンのレースぶりは鮮やかなものだった。スタート直後に躓いて、
後方から道中まくり気味に追い上げてきて、たちまち4角で先頭集団に追いつき、
やあそこでバテるかと期待したら意に反してグンと突き抜けてゴール。うーむ。
これはひょっとして強いのではなかろうか。少なく見積もってもアドマイヤカリブ級に
評価せねばならぬだろう。クロフネ種牡馬としても優秀であったか。うううーむ。

「ねえねえ、これ可笑しいよね?」

幼い頃の自分の写真を指差しながら重そうなアルバムをオレさまに持たせようとする。
忙しいから。いま、大事な考え事をしているから。ごめんね。ああ、可笑しいね。うん。
ああ、似ている。似ているね……って、それは貴女ご自身でしょう。
ぜんぜん変わっておらぬなおまえは。もう少し成長しろ。

落ち着いて思案ができないので、妻にも身支度をさせて二人で外出する。

久しぶりに回転寿司に行ってみた。
ピークの時間を過ぎていたのですぐに席に通された。コレステロールが高くなるので、
イカばかり食うのはイカがなものかと思いながら、それでも寿司屋以外でイカを食べる
ことなど滅多にないので、躊躇することをやめて、じゃんじゃん頂くことにする。
大葉まいか、紋甲いか、姿やりいか、やりいかげそ、いかおくら、ざまをみろ。
美味しかった。ついでに、生アジもとても美味しかった。忘れられぬ。庶民で良かった。

二人で計19皿食べた。
隣のカップルなどは、オレたちより先に会計をして店を出て行ったが、
二人で8皿しか食べていなかったようだ。まだまだ若いな。

食事を済ませて外へ出てみれば、小雨がパラついている。梅雨だからまあ仕方がない。
少し悩んでみたが、予定どおり図書館へ向かう。図書館に着くまでには雨は止んだ。
どうもお天道様とのリズムが咬み合っていないようだ。

図書館でCDを3枚借りた。妻も数冊の書籍を借りていた。
コーヒーでも飲んで帰ろうか、と検討してみたが、雨雲の重苦しさにこれ以上の油断は
禁物ということで、寄り道をせずに帰途に着く。

再び小雨がパラつき始めたなかを早足で歩きながら、
情報処理の勉強会の宿題をやっていないことに気がついてしまった。
帰宅後、黙々とプリントをこなす。また抑揚のない1日が終わろうとしている。