COTドラフト

出社してすぐに、トゥザビクトリー03に関する事情を説明しつつ、
オレさまの10位の指名馬の変更を許諾してもらえるように、事務局のY成君に
メールを送ると、代わりの馬が 「パパラッシオ03」 なら許可しますというので、
泣く泣く、泣く泣く、泣く泣く、ポツダム宣言を受諾する。
パパラッシオ03というのは、例のマイネルポポラーレの妹であるか。

COTのドラフトの日なので、定時きっかりにY山さんを誘って退社する。
池袋の 『日本橋亭』。約15分遅刻して現地に到着してみると、すでにM野さんが
一人でガラスのコップに手酌でビールを飲んでいた。すぐにオケラオーも現れて、
とりあえず4人で乾杯。大作君は仕事の都合で1時間ほど遅れて来る予定だった。

大作君を待つ間、オレさまが事務局として全身全霊を込めてまとめた第7回COT
の資料を仲良く眺めながら、2冠馬ディープインパクトを口々に褒めそやす。
やっと解放されたという安堵感からくるのか、とにかく 「強かったねえ」 と誰かが
思い出したように言えば、「ああ秋が楽しみだ」 などと誰かが笑顔で応える。
何度もそれを繰り返す。COTではディープインパクトのPOだったオケラオーは、
実は他所のPOGで他のメンバーに指名されているらしく、しかもそのPOGは
有馬記念までのルールだということで、「もう走らないで欲しいよ」 と苦笑する。
なおさら皆は、秋が楽しみだなあ、を連発する。

やがて大作君が登場。
あらためてビールで乾杯した後、まずは第7回COTの表彰式を挙行する。
第7回COTは、2位に断然のポイント差をつけてオケラオー君が優勝した。
ディープインパクトだけでなく、シックスセンスも指名していたのだから文句なし。
2位はM野さん(ペールギュント他)、3位はオレさま(ローゼンクロイツ他)、
4位はY山さん(ライラプス他)、最下位は大作君(フェリシア他)だった。
いずれにしても、オケラオー以外は全員マイナスポイントである。

次に、第8回COTについてのルールの確認を行った。
これまでは、競馬ブックの東西馬名登録リストの中から最低7頭を指名しなければ
ならないというルールだったが、第8回からは、馬名が未決定の馬でも頭数に制限
なく自由に指名することができるようにした。ある意味で保護政策を解除したもの。
また、マイナスポイントには限界値を設けることにした(−40000 ptまで)。
これら2つの改正は表裏をなしている。

これらのルール確認を終えると、いよいよドラフト開始である。
まずは3巡目まで終えたところで休憩をとることを約束して各自の精神集中を促す。

1巡目。
畢竟、キャプテンベガアグネスサージャンパルジファルオンファイアといっ
た大物血統をどのように捌くかが問題なのである。完全に無視するという手もある
だろうが、みすみす誰かの手にかかるくらいならいっそ自分の手で始末したる!
という狂気もはしるわけで、1位にはその辺りの超良血馬を懐に忍ばせてみたくなる。
かつてアドマイヤボスとか、リミットレスビッドとか、ブラックタイドとか、
ハズレの兄ちゃん達と繁華街をうろついたことのあるオレさまとしては、
まだ手をつけていない母アグネスフローラの血統に興味をそそられるのだが、
どうもロイヤルスキーがスキーになれない。

そういうわけで、オレさまと大作君がキャプテンベガで競合する。呆然とする。
競合した馬はまずもって走らない。そういう宿命にある。Y山さんは単独で、
アグネスサージャンを獲得した。パルジファルオンファイアは指名なし。うーむ。
なぜキャプテンベガだけが競合か。競合した以上、アミダでも、ジャンケンでも、
とにかく負けておいたほうが無難に違いないのだが、そのことは分かっているが、
自然の摂理として理解しているのだが、それでも奪い獲りたい。誰にも渡したくない。
これがPOGオタクの性なのね。アミダくじの結果、キャプテンベガを獲得したのは
オレさまだった。えへへへ。複雑な心境だな。えへへへ。

大作君のシブシブの代替1位はペディクラリス。これは藤沢厩舎のSS産駒だ。
M野さんの1位はレイクトゥーン。SS産駒。オケラオーの1位はギーニョ、
これもSS産駒でトゥザビクトリーが好きなオケラオーとすれば当然の1位。
ふふふ。その勢いでトゥザビクトリー03も指名してしまえ。

2巡目も全員サンデーサイレンス産駒だった。さよならサンデーフェスティバル。
オレさまは母ロゼカラーでビシっと決めた。ここでオケラオーがパルジファル
さささっと掬っていった。大作君は3億円犯人でも買えないフサイチジャンク
M野さんはナスカ、インティライミの弟。Y山さんは秘密兵器タガノアイガー

3巡目もSS産駒を指名したのは、M野さんとY山さんだけだった。
M野さんは、ここまでの3頭のSS産駒をすべて、愛娘のNaNaちゃんに
選んでもらってきたのだそうである。ううう、なんだか勝たれてしまいそうだ。
3巡目でまた競合が発生した。対象馬はクロフネ産駒のフラムドパシオン
デビューも早そうだし、母はエアグルーヴの全妹で……まあ、いいか。
指名したのは大作君とオケラオーだった。POを決めるアミダくじを作成したのは、
大作君の義理の兄にあたるオレさまである。もちろん義弟のためを思い、義弟には
当たらないように細工をして、見事にオケラオーの指名馬とせしめたのである。

義兄の影の苦労も知らないで、ヤケクソの大作君が提出した代替3位の指名馬は、
エアグルーヴの03だった。
あららららら。
オレさまは両手を直角に重ねて審判に 「タイム」 の合図を送りながら、
テニスコートの中央に立つ大作君のところに急いで駆け寄り、

「その馬はやめたほうがいい」

と、耳打ちしなければならないのであった。
そういうわけで大作君の3位は、これまたヤケクソのエルコンドルパサー産駒の
テイオティワカンとなったのである。

3巡目が終わったところで休憩。けっこう疲れるものである。
それぞれトイレに行ったり、自宅で待機している家族に電話して安否を気遣ったり、
窓外の夜景を眺めながらビールを舐めたりする。

4巡目以降は、簡単に記録しておく。いずれ、例年のように、各オーナーから
各指名馬についてのコメントを集めて、ホームページに掲載するつもりである。

まずオケラオーは、4、5、6位と立て続けにクロフネ産駒を指名した。
彼はクロフネが好きなのである。かつてどこかのPOGで指名していたことがある
らしい。実はトゥザビクトリーもPOだったらしいので、当然、例のあの馬こそ
1位で行くべきところのはずなのだったが、なかなか手を出してこないので、

「トゥザビクトリー03は指名しないの?」

と聞いてみたらやはり、良血なのに情報が少ないので敬遠してみたのだそうである。
ちぇ。悪運の強いヤツめ。仕方ないので、デビューするかわからんとか、池江厩舎に
預託される予定が破談になったのだとか、実は死んでいるらしいとか、実は生きて
いてアサクサキンメダルと駆け落ちしたのだとか、とにかくPOGで指名しても
走らないような雰囲気にあることを教えてさしあげる。

Y山さんは、4位、5位で Fantastic Light 産駒を指名した。どうもこれが今期の
テーマソングになっているらしい。サンデーサイレンスのラストクロップは、
上位の3頭で打ち切りで、下位ではブラックホーク産駒やタイキシャトル産駒を指名した。
しかも、お得意の松田国厩舎の管理馬が見当たらない。しかもお得意の牝馬がわずか
2頭しかいない。いいのか。いいのか。いいのかー?

M野さんは、NaNaちゃんにSS産駒を選んでもっておいて、自分で引っぱって
くるのは、ステイゴールド産駒だのアグネスタキオン産駒だのだったりする。
わずか8頭しか指名できないのに、何故にステイゴールド産駒が2頭も必要なのか。
いや、走らせてみなければわからんけれどもね。指名馬のうちの25%が、
ステイゴールド産駒なのかと思うと、それだけで呆然としてしまうわけです。

大作君は、4位でオンファイアを指名した。ヤケクソだったのだと思う。
彼もサンデー産駒の指名はそこまでで、結局3頭だけとなった。7位でガリレオ産駒
なんていうのが出てきて、ああヤケクソなんだな、と思った。なにしろオレさまは
ガリレオなんていう科学者みたいな種牡馬がいることすら知らなかった。事務局失格。
それにしても関東馬ばかり指名しているようなのが義兄としてはやや心配ではある。

そういうわけで、オレさまの指名内容は以下のとおり。

1位.キャプテンベガ
2位.テューダーローズ
3位.チアズガディス
4位.フェリーク
5位.アドマイヤダンディ
6位.アドマイヤダーリン
7位.フレンチアイドル
8位.コードテレグラム

サンデー産駒が5頭、フレンチデピュティ産駒が3頭の計8頭である。
ちょっと大人気なかったかな。えへへへ。