みどりの日

早起きをして新婚の義妹夫婦の新居へ遊びにいく。
電車を乗り継いで3時間、昼頃には最寄の駅に到着。義妹夫婦が迎えにきてくれていた。
亭主のヒロ君は、そのままオレたちを車に乗せて足利健康ランドに連れて行ってくれた。

この辺りは、SAVE ON とかいうコンビニが目立つ。
広い道路を自動車でぐるぐる走っているうちに4件も数えることができた。
祝日なので店はあまり開いていない。人気も少ない。自動車も少ない。
関東でも北のほうだから寒いのかと思ったら、今日は立派な真夏日で、
クーラーの効きかけた車の中で、オレさまも妻も上着を脱がずにいられなかった。

健康ランドというところは、温泉に浸かってゆっくり休むのが目的の施設である。
最初に下駄箱にクツを入れて、その鍵をフロントに預ける。これで帰れなくなったわけで、
その後で、お風呂セットと、ロッカーの鍵をもらう。ロッカーの鍵にはバーコードが付いていて、
これを身につけていれば、現金がなくても買い物ができる。後でまとめて清算するシステムだ。

薬湯に浸かるコツは、浴場内に掲げられたパネルに書かれてある。
(1)サウナで汗をかき全身の毛穴を広げる。(2)5分くらい薬湯に浸かって皮膚に浸み込ませる。
(3)心臓より遠い方から冷水を浴びて毛穴を閉じる。(4)必要に応じて20分〜30分の休憩をとる。
この(1)〜(4)を3回繰り返すのが理想的なのだそうだ。もちろん、全裸であることが前提だ。
パネルを読むときも全裸で腕を組んで読む。

オレさまの場合、
(1)サウナでのぼせるのが怖いのでミストルーム(お湯の霧が充満している小部屋)で
汗をかいたような気分になり、(2)薬湯に浸かりながら薬効を書いたパネルを読んでウキウキし、
(3)心臓麻痺が怖いので冷や水ではなく温水プールに滑り込んでバシャバシャ泳ぎ、
(4)露天風呂に出て湯冷めを気にしながらベンチに座り、義弟のヒロ君とたどたどしい会話を交わし、
それからまた(1)に戻らなければならないのに薬湯に浸かってしまい、はっとして浴槽から飛び出し、
冷水を浴びてみようとしつつ、やはり無理だとかなんとかブツブツ言いながら、順序がわからず
パニックに陥りそうなので、とりあえず露天のベンチに戻って冷静になってから、
(1)へ戻り、(2)をクリアし、(3)を忘れて(4)へ行き、もう一度(1)に行こうとしたところで、
(3)を忘れたことを思い出し、進むべきか退くべきか、悩むためにまたベンチに腰掛けてみる。
そのうちにもうどうでもよくなってしまうのだった。

狐の嫁入りがあったようで、16時過ぎに健康ランドを出る頃にはお天気雨が降っていた。
朝から困っていた背中の痛みが、少しだけ和らいだような気がする。

夜は、結婚式のビデオを観ながら、新妻の手料理でヒロ君とビールなど飲む。
すっかり酔ってゴロゴロしていたら、ヒロ君の実家からご両親が夜半に訪れて下さって、
慌てて座りなおして、朦朧としながら恐縮していたのをなんとなく覚えている。