冷たく濡れた夜の帳をめくりめくり帰ってくる。あれほど買い与えてはいけないと厳重注意していたのに、小学校にあがってもう8カ月もたった甥はいまニンテンドーDSポケモンホワイトに夢中である。うーむ。あれほど買い与えてはいけないと厳重注意していたのにな。こうなってしまっては仕方がないので、傍で宇宙の果てやニワトリ卵問題やドッペルゲンガーの存在について悩みと悔いを重ね続けてきた一人の大人としては、この少年と同じようにニンテンドーDSを手に入れて、同じようにポケモンホワイトをガチャガチャ言わせて、その愚かしげな有り様を、かの発展途上の両眼に投影して見せてやるしかない。そのうえに途中で放り投げもしてみせて、こんなものくだらぬとか吐き捨ててやれば、まず言わんとする処を分からせるには充分だろう。そうしたらきっと甥も目が覚めるに違いない。何となく負い目も感じるかもしれない。そういうわけで、そろそろプレイ時間は10時間を超えた。とにかく甥には早くゲームをやめさせたい。ただしその甥からLv47のオオスバメをもらったので、これを服従させるトレーナーになるまでは(つまりライモンシティでボルトバッジを手に入れるまでは)、誠意をもって事にあたりたいと考えている。