ヒマつぶしに妻を伴って東京国立博物館
博物館正門前の横断歩道は、”青になりました”と年配の女性の落ち着いた声で教えてくれる。

特別展は『誕生!中国文明』というもので、面白そうだったが、今日はヒマつぶし的な倦怠感を満喫したいので常設展示のみとする。入場してすぐに、右手の工事中の東洋館の前にできた喫茶店に入って紅茶とオニギリで軽い昼食。店を出て、ユリノキの下のベンチに座って休む。なかなか博物館の中に入らないのも、ヒマつぶしぽくて良い。

”博物館”とマジックで書かれた日傘をさして色々な外国人が歩いている。左右に長く伸びる博物館の瓦屋根に1羽の黒いカラスが小さく留まっている。あそこから眺める空も薄汚れているはずだ。まあ、いいか。カラスはふわりと風を拾って滑降した。いかにも身軽そうだ。

15分ほどベンチでぼーとしてから、ようやく建物に入る。本館1階では『仏像の道・インドから日本へ』という企画展示。中央奥に展示された中国の如来三尊立像。三体の仏の間に線刻で描かれた天女達の腰つきがエロティクだ。仏像の印相というのも、その気分で解してみるとエロティクだ。仏像の前に平然と立てるのが不思議なくらいだ。だんだん仏罰が当たりそうな気がしてきた。吉祥天像を見て理性を失う景戒のほうがまだマトモか。

仏教はインドにあってヒンズー教と融合し、中国に渡って道教儒教と融合し、やがて日本神道とも融合し、時代の変化に晒されながら、姿や解釈をあらためつつ、あらゆる地域に浸透し続けてきたわけである。現代の日本社会との融合を果たすためなら仏陀ジーンズを履くことさえ厭わないかも知れない。と思い至ったところで『聖☆おにいさん』を思い出した。やっぱり。やっぱり罰があたりそうだ。

反省しつつ2時間ほど館内の展示品を眺めまわして帰ってくる。