朝、駅に向かって歩いている途中、商店街の細い道路の真ん中で雀のヒナがおろおろしているのを発見。そのままやり過ごし、50mほど歩いてから思い直して引き返す。同時に後ろからするりと自動車が自分を出し抜き、排気ガスを猛烈に巻き上げながら、いまもアスファルトに足を取られているヒナへ目掛けてスピードを上げていく。そこの車ただちに停車せよ。繰り返す。ただちに停車せよ。停まりなさい。と、心の中で強く警告を発してみたが速度を落とす様子が無く、そのままヒナの頭上を通り過ぎた。全身から100リットルの冷や汗が流れ落ちる。

雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る

とにかく急いで拾い上げねばならぬわけで、次の自動車が来たら今度は体当たりしてでも止めようと決意しつつ、でも走って行って抱き上げるほどの事柄でもないので、やや早歩き程度で雀のヒナに近づく事にしよう、その間に自動車が近づいてきたりしませんように、などとごちゃごちゃしているうちに、通りかかった3人ばかりの小学生の女の子がその場でヒナを救い上げてしまった。ついでにこの優柔不断な大人も救って欲しいものである。