いつもより早く、朝5時に目が覚めた。頭痛がひどい。1時間ほど起きていたがまた眠くなって寝る。
夢の中では、自分はどこかの避暑地に長期滞在中の身だった。自分たちの宿泊施設に魔物が棲んでいると噂されていて、見習い巫女のような少女が退魔の法を研究していた。見習い巫女はずいぶんと危険な研究を行っているようで、手の甲にデキモノが出来たり、小さな頬傷を作ったりしていたが、だんだん雲行きが怪しくなって、ある日完全に暗雲が立ち込めたかと思うと、雷に合わせて黒い毛むくじゃらの小さな豚ネズミが数匹、隣の座敷に飛びこんできてビービー騒ぎ始めた。どうやら退魔ではなく降魔の法に行き着いてしまったらしい。見習い巫女は落ち着いているが、もはや満身創痍である。

その小さな豚ネズミのあまりの禍々しさに身の毛がよだち、他の宿泊客たちとともにその魔物から遁れるため、部屋を隔てる襖や障子をピシャリピシャリ閉めて回ったが、バタバタと豚ネズミの足音が何度か迂回したかと思うと、いつのまにか左右に現れて、いきなり自分の体に飛びついてきた。宿泊客たちの悲鳴を聞きながら、自分はどんどん身動きがとれなくなっていく。何故自分ばかりが襲われるのか。やがて全身に黒い毛むくじゃらの温もりを感じながら、この建物に棲み付いた魔物とは自分のことだったのだと気が着いた。見習い巫女は落ち着いてこちらをじっと見ている。

裁かれつつも捌かれつつもある自分は焦りつつ、「対話がしたい!」 と必死で巫女に訴えたところ、ふいに電話が鳴って目が覚めた。本来ならもう自分は出社している時刻なので、受話器をとるのを躊躇っていたらそのうちに切れてしまった。あれは見習い巫女からの電話だったのに違いない。

午後から出社。なかなかに沈鬱。体調悪い。もやしみたいにうなだれて帰宅。妻の情報によると、なんでも本日は鶴岡八幡宮の大祓式の日らしい。自分はどうやら祓われかけたのに違いない。ヤバかったな。明日から電気代があがるということで、妻はできるだけ同じ部屋に居ようとする。トイレに行くにも、風呂に入るにも、敷物をもって後からのこのこついてくる。鶴岡八幡宮に相談したい。