人間ドック。毎年楽しみにしている胃のレントゲンであるが、不景気のせいかバリウムの量が心なしか少なくなったように思う。検査室を出るときに、つい普段のくせで 「ごちそうさま」 と言いそうになって密かに冷や汗を滲ませたり。そのまま計った血圧がやや高めだったり。検査結果の後の問診まで1時間くらい暇ができたので、健診施設を離れて駅前をうろうろしてみたが、どうやらまだ本屋が開く時間ではないようだと理解しコーヒーでも飲んで暇を潰すことにして喫茶店に入る。飲み物を注文して寛ごうとしたら、なぜか突然メガネの片方のレンズがフレームから外れて落ちた。亡くなった祖父か。祖父が近くにいるのか。まあ、いいか。慎重に立ち上がり小さな止めネジを探す。うーむ。床面は絨毯なのでとても裸眼では探せるものではない。壊れたままのメガネをかけ直し、指先で外れているレンズを片目に充てながら探索。何とか発見。これだけでも充分によくやったと自分を褒めながら、勢いを恃みにメガネの修復に取り掛かる。そのうちにアイスコーヒーがやってくるがそれどころではない。小さなネジの頭を回す道具が無いので、名刺の端を宛がったり、テレホンカードの縁で回してみたり、爪を立ててみたり、ちょっとずつ回してなんとか修復に成功し、丁度喉が渇いたところに氷の溶けたアイスコーヒーをがぶ飲みして支払いを済ませて喫茶店を出る。毎日缶ビールを飲んでしまうのが悩みですと医師に訴えると、雲を集めるゼウスが翼のある言葉をかけて言うには 「それが一番健康に良いの」 ということなので、まあ、いいか。