もちろん、ハンカチはいつもズボンのポケットに携えているのだが、いつもそれが決まって右側ポケットであったことに突然気が着いたので、トイレの鏡の向こう側で戦慄している我が分身と頷きあったのち、思い切って手に持っていたハンカチを左側ポケットに押し込んでみる。まるで左右の靴を履き間違えたようにとても違和感がある。この数時間のちには、濡れた手を右ポケットに差し込んでしまうのだから実害もある。習慣とはかくも恐ろしいものであったか。こうなったら財布のポケットも変えてみる。なんとなく緊張感で全身がコーティングされるような気がする。しばらくは買い物が面倒になるかも知れない。いずれにせよ我が冒険は斯くの如くしてまだまだ続くのである。