夏休みどうするのと、会う人会う人に聞かれるので、とりあえず休暇をもらってみた。いつものように朝早く起きつつ 『もやしもん』 の第5巻など読んでいたのだが、ふと思い立って、妻にも身支度させ、電車を百も乗り継いで、青梅駅のスタンドでは天麩羅ソバをすすったり、降りた駅では無人改札に動揺しつつ天使と悪魔の口論の末に乗り越し料金を自発的に支払ったりしつつ、奥多摩は沢井にある小澤酒造の澤乃井園に行ってみる。多摩川を見下ろす休憩所で大樹の幹にできた蜂の巣を眺めながら酒饅頭を頬張り、それから試飲コーナーで大吟醸と大辛口を飲む。猪口1杯が200円〜300円で、十種ちかい銘柄が用意されている。いろいろ飲んでみたい。お土産に猪口をもらって帰ることができるのだが、同じ猪口なら2杯目からは100円引きだという。妻はすでに眠いと言って飲まなかったので、我が猪口をもってして、どんどんお代わりをするべきだという念が頭から消えない。ああしかし酔えばいよいよ帰るのが億劫になろうというもの。また電車を百も乗り継いだり、青梅駅でソバをすすったりすることを思えば、できるだけ正気でいたいと感じる。自分達の他にも何組かの同年代くらいの夫婦の姿も見られて、嬉しそうに交互に利き酒しているのを尻目に、ここは2杯でやめておく。しかし汗も掻けば電解水飲料もがぶがぶ飲むわけで、猪口に2杯程度ではほろ酔いも5分で醒めてしまうわけで、沢井から軍畑駅まで汗濁濁で多摩川沿いの渓谷遊歩道を踏み締めつつ、後悔しながらまた電車を乗り継いで帰って来る。