腹痛に対しては心頭滅却する作戦。ある特定の感覚を無視することで克服できる。
定時後、約束の刻限から半刻ほど遅れて、O西さん、T橋会長、カポエラ君の待つ新宿は 『黄金の蔵』 へ馳せ参じる。O西さんが、忍者ドラマ・アニメ主題歌のCDを毎晩聴いていることを告白しつつ、仮面の忍者赤影とか、ぴゅんぴゅん丸とか、サスケなんかもありますとO西さんが曲目を紹介すると、T橋会長が 「そのCDには、サスケの ”子狐こん” の歌は入っていますか」 と質問を返すのを聞いて、この人はやはり本物だった、と心の中の感動を抑きれず、忘れかけていた昭和のアニメ黄金時代など回想する。また、カポエラ君はこの会合を良い機会とみて、まだまだ世間からは充分な認知を得られていないこの競技について、歌や楽器の重要性や、人格第一であることなど、いまひとたび熱く語ってくれた。どういうわけか、自分も一緒になって熱く語っていることに気づいたり。”感化されやすい” 点こそがオレさまの本質だったことをあらためて認識させられる。いずれは、オリンピック競技にしたいとう声が出たのをきっかけに、ふと ”エクストリーム・アイロニング”(参考:EIJ公式サイト)のことを思い出して言の葉にのせてみたら、重ねた焼酎のお湯割りに緩みかけていたO西さんの視線が、たちまち銀のフォークのような光沢を取り戻しながら、競技の詳細についての追加情報を求め始めた。