帰宅後はスポーツクラブ。その帰りに缶ビール。それから岩波文庫易経』 を拾い読みする。上巻巻頭の、訳者による充実した解説がとても参考になる。何度も読み返すべき。今回は占筮法自体をもう少しよく知ろうと試みているわけだが、解説をひととおり読み、『易経』 本編の64卦の説明の順序には変化を踏まえた意図があることにあらためて気づかされ、さらにまた爻の位置の意味など再認識してみると、いよいよ 『易経』 本編のそれぞれの卦辞爻辞への興味が再び湧いてきて、続けて 『易経』 本編まで読み直したくなった。
易は変化の書である。変化を知るためにまず現状を知る。占筮の結果として、内卦(下)が ”天” で、外卦(上)に”水” が出れば 「需」 と説明される。需(ま)つこと。雲が湧いていて雨が降りだすのを待っている状態。時節を待つべき状況。逆に、”水” が内卦(下)で、外卦(上)に”天” が出れば 「訟」 を意味する。”訴訟”の訟。天の気は上に昇り、水は下に流れることで、食い違いが生じている。下の者に不満が起きている状態。そんな感じか。”当たるも八卦”とか”八卦良い”とか言うが、『易経』 は八卦即ち8つのエレメント(天沢火雷風水山地)を用い、これら八卦×八卦の組み合わせで表される六十四の状況に関する詳細説明書である。処世術の書として読んでも充分に参考になるもので、「善く易を為むる者は占わず」 という言葉は 『易経』 を読むほどにわかってくるようなことではないだろうかとも思われる。とはいえ占筮の結果には、その時の状況に併せて今後の変化の可能性までもが示唆されるわけで、つまり64×(64−1)の数のアドバイスが用意されているのである。やはり頻繁に占ってみたい。