格助詞過敏反応症候群とでもいうべき病気があるのではないかと思われくらい、「が」「の」「に」「を」というような言葉が際立って聞こえてしまう性分である。例えば、ピカソという名前を聞くとつい ”「ピ」か「ソ」” と言っているように聞こえてしまって、それが人の名前であることは理解していながらも、「彼はピあるいはソのどちらであるべきだろうか」 などと秘かに愚案を廻らせはじめてしまうのである。ヒットラーも ”「ヒッ」と「ラー」” に変換されて 「二人なのに独裁者なのか?」 と考え込んでしまうのである。羽賀健二なら ”歯が健児”、ポカリスエットは ”「ポ」か「リスエット」よくわからん”、タニシが ”田に師”、湯呑が ”油の実” となって、不毛な疑問が次々に湧いてくる。ところが、ときどきキノコが ”木の子” であるように、あながち見当はずれでない例もあって、それでますます混乱してしまうのである。