暑気払いリターンズ。2週間前のメンバーにT君を加えて、浅草橋の居酒屋で飲む。すべて端末操作で注文する店。店員との会話がほとんどない。普通の店なら、「すいませーん、ビール」 とか、「ああもうひとつ」 というような台詞の読み合わせがあってから飲み物が届けられるわけだが、今夜の場合は、誰も自分が何を飲むつもりかを宣言せずに端末にこっそり注文するものだから、とつぜん見慣れない液体が運ばれてきて、いったいそれを誰が飲むのか、そもそもそれは何なのか、つねにミステリーである。しかし、動揺してはいけない。いかにも端末での注文操作には慣れていますからという素振りで、頼んでいない気がする料理が運ばれてきても、平然と箸をつけながら、ハリウッド映画の話や占いの話に夢中でなければならない。王侯貴族の晩餐会のように。