池袋駅で自分の前を歩いていた人が、自動改札機を抜けるときに定期を取るのを忘れたので、急いで代わりに取って、追いかけて渡して差し上げた。必ずしも後姿が綺麗な女性だったからではないし、振り返ったら想像したとおりの絶世の美女だったからでももちろんない。肩を叩いたときはもの凄く驚いていたが、定期を渡したら礼を言いながら 「私、取るの忘れてました?」 とフレンドリーに話しかけてくれたのがちょっと嬉しかった。

中島らもに言わせれば、誰でも天使になれるし、だから誰のそばにも天使はいる。その日その日に、自分にとっての 「今日の天使」 は誰だったのかを思い返してみることは、自らの胸に幸福感を呼び戻すための魔法の杖なのである。ありがとう、今朝おつりを余計に返してくれた自販機!