O田女史が 『星界の紋章』 のDVDを強引に貸してくれた。うーむ。

スポーツクラブの帰り、夜道を自転車を漕いでいたら、前方に酔っ払いが歩いているのを発見。地上のすべてのマンホールを踏むがごとく蛇行して歩き、道端に伸びた草のつるに片端から八つ当たりしながら、

 「……ずあけんじゃねえよ。バアアアロ……」

と規定のコードを発している。これは絵に描いたような酔っ払いである。同じ方向に進んでいる以上、自転車に乗っているオレさまはいずれ彼に追いつき追い越さねばならない。うーむ。オレさまは君子だから危うきにはあまり近寄りたくない。

ゆっくり漕ぎながらいったん深呼吸をし、それからまるで競輪場でジャンがジャンジャン鳴り出したようにスパートする。光の速度で追い越す刹那、聞き耳を立ててみたが、予想に反して酔っ払いは何も発しなかった。酔っ払いは変化に追いつけなかったのだ。なんだかとても切ない気分になる。