M村君が異動になったことに起因したわけではないのだが、しかもM村君は本日は病欠という事態に陥っているわけであるが、O西さん、オレさま、そしてO田女史の3人でM村君を囲んで飲む会を開催する。

神楽坂の『MASU MASU』。O西さんが予約を入れておいてくれた。最初は日本の慣例に従ってビールで乾杯する。そういうものなのであるが、O西さんはワイン派だし、O田女史はビールがあまり飲めないらしく、お酒がなかなかすすまない。そうなるとなかなか会話もはずまない。そうした緊迫感が苦手なオレさまばかりが、がぶがぶビールを飲みくだして、さっさと焼酎に手を出す。まずは 『山ねこ(芋)』。

ビールを終わらせたO西さんは、すぐに高そうなワインを1本注文した。グラスは3つ持ってこさせる。強情な人である。かっとなったオレさまは、焼酎をおかわりする。今度は 『長雲(黒糖)』、30度である。これが大変美味しい。

ビールを半分残しながら、O田女史は焼酎を注文した。焼酎が持ってこられるまでは、O西さんのワインを少し分けてもらっていた。やがて彼女の焼酎がやってきた。オレさまは、O西さんから普段の生活から余分なものを引いて引いて、引いたところに和の生活があるんだよね引き算なのに「和」というのが面白いねという話を聞きながら、ふと、O田女史の手元を一瞥したら、すでに彼女のグラスのなかの焼酎はなくなっていた。背筋をザザザーと冷たい水が流れる。

それからどのくらいの量を飲んだか分からない。映画の吹き替えの是非や、タイトルの話や、「差」と「違い」についての話などしながら、戦国武将の話に及んだところで、O西さんが例のホトトギスの句に倣って一句。

 啼かぬならどうでもいいやホトトギス

オレさまも、世相とO西さんの句を反映しつつ、
 啼かぬなら尊重しようホトトギス

O田女史は酔っ払っていた。




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